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(注意:有り難くも、全さんと新さんが誘拐を企てて下さったので(笑)、その話の続きになります。この話単品ではちょっとわかりづらいかも)
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少女が、ぱちり、ぱちりと瞬きをする。
目の前に差し出された手の平を、少女は不思議そうに眺めた。
青年は、特に急かすでもなく、じっと少女の前で手を差し出したまま佇む。青年の傍らに立つ少年が、何かを言おうとして口を開き、結局何も発しないまま口を噤んだ。
少女は数度、青年の顔と手の平の間で視線を往復させ、それから、少年の方をちらりと見遣った。それは、迷うというよりは、初めて見るものに対して戸惑うような仕草で、故に青年は何も言わずに少女を見返した。
少女は心の中で先程の青年の言葉を反駁する。
-この先の世界を見たいと思うなら
-手を取れ
「みたい」
「「……え?」」
少女が発した小さな言葉が聞き取れなかったのか、青年と少年が同時に聞き返す。少女はそれに答えることなく、目の前の青年の手の平に、そっと己の手の平を乗せた。
「取る」
少々言葉足らずな少女の発言でも、今度は青年にきちんと伝わったらしく、青年は重ねられた手の平を躊躇うことなく握り返した。
「よし! じゃ、行こう!」
朗らかに告げて少女の体を肩に担ぎ上げた青年は傍らの少年ににやりと笑いかけた。
「ほら、ぼさっとすんなよ、新!」
「え、ちょ、全さん?!」
それっていろいろ規則的に問題じゃんじゃねぇの?! という少年のごく常識的な叫びは青年の全力疾走の前にかき消され、慌ただしい足音だけが残された。
それから暫く、3人の間で(というより、少女の中で)手の平を差し出す、そこに相手の手を乗せさせる、という行為が流行になったとかならなかったとか。(最初はこれに相手を肩に担ぐまでが一連の流れで入っていたが、少女に抱えられる対象がいなかった為人知れず却下となった模様)
後に少年は語る。
「あれはさぁ、犬っころがお手って言われてポンと手を乗せるじゃないっすか、アレみたいなモンじゃないですかね」
「あ~」
「なんか、よくわかってないみたいだし」
「そうかもなぁ~」
でも、自らつかみ取ったってことがなにより大事だろ、それが全てでいいじゃねぇかと青年は笑った。
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診断メーカー『君と僕の未来戦争』(ttp://shindanmaker.com/500139)
栗さん(@toronah)宅の全さん、ナルさん(@nal_r)宅の新さんお借りしました。自キャラ(http://yuz.hacca.jp/_a2/off/20141230.jpg)
2015.01.23
[future_war]
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初めて世界教えてくれたのは彼女だった。
初めて世界の色を教えてくれたのは彼だった。
初めてホンモノ、を見せてくれたのはあの人だった。
「ほら、気をつけて歩いてこいよ、ココ道がでこぼこだからな~」
身軽な調子で前を歩く青年の後ろを、のろのろと着いていく小さな影。その更に後ろを着いていく少年。青年と少年の間に挟まれる形となった少女はよたよたと頼りなく、時々躓いたり転びそうになったりしながら歩いていく。少女がよろめく度に、後ろから歩く少年が少女を支えているのが見て取れる。前を歩く青年は、手を差し伸べるのは少年の仕事だとばかりに、少女を助けたりはしないまでも、時々後ろをふり返り立ち止まりながら、少女が歩いてくるのをじっと待つ。
3人は、青年と少年だけで歩く時よりもずっと時間をかけて、少女が暮らす研究施設から少し離れた場所にある空き地へとたどり着いた。周りを雑木林に覆われた施設の敷地内にある、ぽかりと空いた場所。木々が開けたその場所で、上、上、と言われて見上げた少女の瞳に飛び込んできたのは。
まばゆいばかりの青。
雲一つなく晴れ渡った青空の下、少女はぱちり、ぱちりと瞬きをする。
「綺麗だろ、青空!」
少女を見下ろして青年が笑う。
「お前の目の色と一緒」
少年も満面の笑みを浮かべながら少女の青を指差す。
指を差された少女は、またぱちりぱちりと瞬きをする。
「あおぞら」
「そう」
「わたし」
「おぅ」
「いっしょ?」
「だな」
感情に乏しい少女の表情は、常と何ら変わるところは無かったが、それでも、初めて見る青空に多少は感動しているのか、いつもより頬に赤みが差している。その様を満足げに見遣った青年は、少女の頭をぽんぽんと撫で、一際朗らかに笑った。
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診断メーカー『君と僕の未来戦争』(ttp://shindanmaker.com/500139)で創作したキャラで遊んでみました。
栗さん(@toronah)宅の全さん、ナルさん(@nal_r)宅の新さん(と、直さん)お借りしました。
自キャラ(http://yuz.hacca.jp/_a2/off/20141230.jpg)
2015.01.14
[future_war]